液浸冷却方式による
コンテナ型データセンター
(過去の研究開発実績)
ZYRQの液浸冷却技術について
ZYRQは、2022年に設立したばかりの会社ですが、液浸冷却のパイオニアとして2014年から長年に渡り液浸冷却技術の研究・開発に携わってきたメンバーが参画し、液浸冷却技術に関わる多くの特許と実績ある技術を有しています。
現在、本社がある新潟県長岡市において、液浸冷却技術を使ったコンテナ型データセンターを稼働させておりますが、長岡市の機械産業の技術を終結し、設計から稼働まで僅か6ケ月という驚くべき短期での開発を実現させています。
写真左:液浸冷却コンテナ型データセンター全体、写真右上:データセンター内部、右下:液浸槽
この液浸冷却コンテナ型データセンターにおいて、2022年6月にコンピュータ性能のランキングである「Top500」にて401位、「Green500」にて26位という実績を残しました。これは液浸冷却を含め1コンテナの規模で史上初めてのランキング実績となります。
1.ZYRQの液浸冷却コンテナ型データセンターの特長
当社が開発した液浸冷却コンテナ型データセンターは、一般的な輸送用の20ftコンテナに4液浸槽(サーバ・ネットワーク機器)、および熱交換設備と電源設備を効率よく配置、搭載し、500kwの冷却能力を有します。これは、標準的なタワー型サーバラック120ラックの冷却能力に相当します。
2.独自開発の液浸冷却方式
IT機器(サーバ・ネットワーク機器、電源ユニット)の冷却には、冷媒として絶縁性のあるフッ素系不活性液体(※)を使用し、冷媒の冷却(熱交換)方式として地下水を循環させ熱交換により冷却する方式をとっています。従来の熱交換は、一般的な室外に設置するチラー(冷却水循環装置)による冷却を行う方式を採用していましたが、当社は地下水による自然冷却により冷却能力を高め、消費電力を抑えることができる新たな冷却(熱交換)方式を開発いたしました。(特許出願済み)
この地下水による自然冷却方式では、自然環境への影響に配慮し以下の対策を実施しています。
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熱交換に使用する地下水は、地下水に含まれる成分(マグネシウム分、カルシュウム分、鉄分など)による酸化などの変化を防止するために、熱交換で循環させる過程で空気に触れさせない。
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熱交換後の水は、採取した地下層と異なる地下層に100%戻すことで、地下水位に影響を与えない(取水による沈下等への影響に配慮)。
3.圧倒的な省電力効果
新たな冷却(熱交換)方式では、空冷による冷却方式と比べ大規模な空調設備を必要とせず、また、従来の液浸冷却の熱交換で必要であったチラーも必要としないため、冷却設備に関わる電力がほぼ無くなり、データセンター全体の消費電力の実に50%以上の電力使用量の削減が可能となります。
4.圧倒的な省スペース化
この液浸冷却方式の特長として、圧倒的な省スペース化を実現できる点においても大きなインパクトがあります。
一般的なデータセンターでは、サーバ・ネットワーク機器などのIT機器の冷却方式として、パッケージ空調などの空調設備により冷却を行う空冷方式を用いていますが、冷却能力を確保するために、IT機器が搭載されるタワーサーバラックの配置は、ホットアイル/コールドアイル(空気の流れ)を考慮したスペースを確保する必要があります。また、サーバラック毎に保守エリアも確保する必要があり、全体的に広い面積が必要となります。例えば、1,024サーバ分を収める120ラックと空調設備の配置では約140㎡もの面積が必要です。
一方、IT機器の冷却に液浸冷却方式を用いた場合は、空冷方式と違いダイレクトに冷却液で冷やすため、IT機器の配置を空気の流れを意識せず高密度に集約することが可能となります。IT機器のマザーボードについて、空冷前提でのマザーボード設計の制約は無く、非常にコンパクトなマザーボードの設計が可能となり、液浸槽への搭載密度を高めることができます。このため、当社の液浸冷却コンテナ型データセンターにおいては、液浸冷却専用設計のマザーボードであれば、4つの液浸槽で1,024サーバ(マザーボード)が集約可能となります。
5.データセンター総コストの大幅な削減
当社が提案する液浸冷却コンテナ型データセンターは、前述のとおり大胆な省電力化、省スペース化により、5年間での運用コストは従来のデータセンター比で50%以上の削減が可能となる画期的なデータセンターです。また、データセンターの建設には、広大な建設用地も必要が無く、安価で標準仕様のコンテナやユニットハウスを使用することで建屋建設費用を大幅に削減することが可能となります。さらに、データセンターの建設期間も大幅に短縮できるといったメリットがあります。